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VGC2019の終盤に使っていた構築です。並びはWCSシニア優勝のふゆばれさんの構築と同じです。
ゼルネアスを立てて制圧する基本的な展開はもちろんのこと、レックゼルネの組み合わせで苦しくなりがちな「レックウザゼルネアスの両方に上から圧力をかけてくる駒が複数体採用された構築」「トリックルーム絡みの構築」に対して、要素をうまく盛り込むことで五分〜有利を取れるようになり、広い対応範囲を実現できたと考えています。
個別解説
控えめ 202(4)-*-116(4)-200(244)-122(28)-148(228)
マジカルシャイン、ムーンフォース、ジオコントロール、守る
- H202-D156ガオガエンを猫騙し+ジオムンでほぼ確定
- H171-B135-D110メガボーマンダを猫騙し+マジカルシャインで確定
- C189ルナアーラZが86%~102%の低乱数1発(3/16)
- 準速カプテテフ抜き
本構築の軸です。控えめで火力にほぼ全振りした配分を選択していますが、以下のような強さがあると考えています。
- 相手の臆病ジオムン耐え調整を崩すことができる(+2ムンフォを耐えて切り返す想定のガエンレヒレあたりを倒してプランを破壊できるのが大きい)
- ジオコン読みの挑発黒い霧吠える・ボーマンダ突っ張りなどの「ジオコン読みだが最悪攻撃されてもなんとかなる」と考えた動きに合わせて攻撃した場合に取れるアドが大きい
- 追い風やほっぺすりすりでS操作した後、そのまま攻撃する展開において最も強い
- 対トリックルーム構築において、トリックルームされるターンの削り役・トリックルームが切れた後のスイープ役として運用する場合に最も強い
個人的に最速ゼルネアスは早い段階でのジオコンとゼルネミラーを意識した配分で、火力低めの耐久ゼルネアスはガルーラガオガエンの2枚猫やボーマンダガオガエンの2枚威嚇などでサイクルする構築で強いと考えていますが、この構築と自分のプレイスタイルには火力の高い型が最もマッチしていました。残りの努力値を耐久に配分するかSに配分するかは好みがありそうですが、スカーフテテフにマジックルームされた後の展開と控えめゼルネミラーを意識してSにほぼ全振りしています。
上で挙げた火力の高いゼルネアスの強みの中で、最後の要素である対トリックルーム構築における使い方については、同じようなことを書いた記事を見たことがないので少し書きます。
ゼルネアスの対策として真っ先に上がるのがトリックルームですが、後半に増えたルナアーラorネクロズマ+ツンデツンデ/グラードンのようなトリックルーム構築とのマッチアップでは、ジオコンゼルネを通すことは非常に難しいです。一方で、このような相手にはゼルネアスを通そうとするのではなく、ガオガエン+カプレヒレ+レックウザの3体を使うことでトリックルームされても概ね対処可能であることがわかりました。そこで、このマッチアップでは役割のやや薄いゼルネアスを先発で繰り出し、雑に動かすことで削り役として運用しようと考えました。
相手目線ではトリックルームが使えるポケモンとゼルネアスが対面した場合、モロバレルのケアができていれば基本的にはゼルネアスに攻撃するよりもトリックルームが安定となります。そこで先発カプレヒレ+ゼルネアスと繰り出すと、モロバレルの脅威がなくなるため相手をトリックルーム展開へと誘導できます。それゆえ、意外とゼルネアスを動かしても倒されることがほぼなく、トリックルーム起動ターンに一方的に蓄積を入れて、ガエンレヒレでトリックルームを枯らした後レックウザと共に高い火力を活かしてスイープするプランが成立します。(もちろん、うまいルナレックのような相手はトリックルームが切れた後も圧力を維持してくるので立ち回り勝負にはなりますが)
このようなプランにおいて高い火力がマッチしていました。ジオコントロールせずともC実数値200から命中安定高火力で通りの良いフェアリー打点の単体技と全体技を使い分けられる性能は、削りやスイープにも非常に適していました。
やや後付けですが、この動きの強い点はガオガエンを後発に置くことができるところにもあると感じました。ルナアーラと対面した場合にガオガエンの隣にルナZが安定択にならない、トリックルームされるターンに蜻蛉返りを打つと削りが弱い点を解決できる、などが良かったです。
要約すると、「ゼルネアスを使いつつもトリックルーム展開に対する回答を用意した上で相手をトリックルーム展開へと誘導することでこちらの想定通りに試合を運ぶことができた」といった感じです。ジオコントロールによる圧力の強さを感じました。ある程度割り切ってゼルネアスを動かしていますが、もともと役割が薄いので万が一返しの攻撃で倒されてしまっても即負けにはなりませんでした。
せっかち 181(4)-232(252)-108-200-120-183(252)
ガリョウテンセイ、大地の力、追い風、守る
- H167-D116メガゲンガーを珠大地の力で91%~109%の中乱数1発(50%)
ゼルネアスの相方の伝説枠としては最高の性能を持っていると個人的には感じています。単体での攻撃性能はもちろんですが、最も重要なのが相手のグラードンから天候を奪い、カプレヒレの水技を通すことができる点です。
ゼルネアスとその取り巻きのガエンバレルがグラードンに手を出せない以上、相方の伝説枠にはグラードンに強い駒が採用されるかと思いますが、高い汎用性を維持しつつトリル展開も含めたグラードンに対して明確に有利を取れるのはレックウザ+遅いカプレヒレの組み合わせだけだと考えています。
グラードンに強い伝説枠としては他にグラードンやウルトラネクロズマなどが考えられますが、いずれも地面技に対して受け出しができないのが厳しく、何より自身が倒されてしまうと相手のグラードンが倒せなくなるため窮屈な立ち回りを強いられます。それに比べるとレックウザは受け出しやすい上に繰り出すだけで天候を取ることができ、天候さえ取ってしまえば一般枠のカプレヒレで相手のグラードンを処理できるようになるため、伝説枠に掛かる負担が少ないです。
一応カイオーガでも同様の動きは可能ですが、やはりカイオーガ単体の対グラードン性能と、ゼルネアスと合わせてカバーできる範囲でレックウザが優れていると思いました。「単体でグラードンに大きく有利をつけながら、一般枠のカプレヒレをグラードンに明確に強い駒にできる」という点で、レックウザは唯一無二の性能を持っていると言えます。
型については、積んだゼルネアスと並べて広い範囲を突破するために大地の力が必須なことと、柔軟に動くために守るが欲しいことから、火力を高めつつもこれらの要件を満たせる命の珠での採用です。
また、ふゆばれさんの構築同様、神速を切って追い風を採用しています。
2016の頃からレックゼルネという組み合わせは「S操作なしで活躍できる2体の組み合わせ」とよく言われてきたように思いますが、7世代ではスカーフテテフを筆頭にコケコやメガゲンガー、アーゴヨン、エンニュートなど、レックゼルネの両方に上から圧力をかけてくる高速系が多く存在し、この概念はもはや成立していません。
これらに対してカプレヒレの凍える風でS操作することで解決を試みるレックゼルネ構築が多かったように思いますが、凍える風を当ててもその後ジオコンをしないと交代で解除されて結局上から殴られることや、コケコやゲンガーに対してカプレヒレがそもそも不利なことが厳しく安定しません。一応テテフ以外にはバレルゼルネで強引にジオコンを通せなくもないですが、回答がそれだけだとモロバレルを出しづらい場合に非常に窮屈になります。
シャンディさんの記事にもありますが、伝説枠にS操作がないとパワーを維持しつつ毎回S操作を選出に組み込むことが難しく、選出に無理が生じることが多いと感じました。
ウルトラシリーズの伝説2枠について、自分は「一方がエース、もう一方がそのサポート(素早さ操作)」の役割で組むのが強力であると考えています。伝説2枠を両方エースとして、追い風やトリックルームを一般枠で運用するとパワーは上がりますが、相手によって素早さ操作のない選出になりやすかったりと勝てない相手が増えると感じています。
レックゼルネというアーキタイプにおいても、レックウザの追い風は前述の問題をうまくカバーできます。猫や粉の補佐を受けつつ追い風を展開することで高速系の相手を逆に上から縛れるようになり、猫ジオコンや粉ジオコンの通らないテテフ絡みの相手にも粉追い風で盤面を握ることができます。「相手のゼルネアスにジオコントロールを積まれてしまうと襷でないレックウザは神速以外打てなくなる」という欠点も、猫追い風で切り返しができるため解決できています。神速ももちろん強い技ですが、神速を採用するよりもカバーできる範囲が圧倒的に広くなると感じました。
呑気 176(244)-*-150(12)-141(204)-156(44)-83 ※S個体値6
自然の怒り、熱湯、ムーンフォース、守る
- カプZ+ムーンフォースでH振りのルナアーラ、月食ネクロズマを倒せる
- 熱湯でH189-D141グラードンを高乱数1発(14/16)
- C207ルナアーラZを最高乱数以外耐え
- 最遅グラードン-2
ゼルネアス構築が苦手とする、グラードンやツンデツンデをエースとしたトリックルーム軸の構築に対する貴重な駒。採用理由からSを落として物理耐久に寄せた方が良いことは早い段階でわかりましたが、最終的には物理耐久を最低限にして火力に大きく割いた構成となりました。素早さを落とすことでトリックルーム下のグラードンの行動に大幅な制限をかけることができます。
一般的なカプレヒレに採用されている凍える風、光の壁、癒しの波動などのサポート技は一切採用せず、3ウェポン守るのアタッカー型としました。ゼルネアスの項でも述べましたが、トリックルーム展開に対してはこのカプレヒレで守るを駆使しつつ削りながらトリルターンを枯らし、トリル終了後にゼルネアスレックウザで上からスイープすることを目指します。
当初はトリル構築以外にも出すために凍える風を採用していましたが、レックウザに追い風を採用したことで凍える風が完全に不要になり、対トリックルームに特化した型へと変更することができました。削り性能を高めることで、それ以外の場面でも最低限腐らないのも魅力です。
守るが非常に強力で、この技のおかげでZ技や集中を守ることができるため非常に倒されにくく、ガオガエンの猫騙しと合わせてトリルターンを凌ぎやすいです。ゼルネアスと同居するカプレヒレはサポート寄りの印象が強いことも好都合でした。
カプZはルナアーラを特性無視で75%削れるのが非常に大きく、命中不安の自然の怒りを打つ回数を減らせるのも良いです。ルナアーラや月食ネクロズマをカプZで自ら削った後そのまま倒せると強い場面が多かったので、火力に大きく割いてムーンフォースを持たせました。レックウザやボーマンダ、ウルトラネクロズマに対しても大きな打点となります。火力を高めたことで特殊耐久に大きく割いたグラードンも熱湯でほとんど倒せるようになりました。日食ネクロズマもカプZ+熱湯で倒せます。
メジャーなトリックルーム軸の構築に対して一般枠でしっかりとしたプランを用意できたことで、レックゼルネという伝説の組み合わせを非常に強く使えていると感じました。
慎重 202(252)-136(4)-111(4)-90-144(164)-91(84)
猫騙し、フレアドライブ、バークアウト、蜻蛉返り
- C255雨ダブルダメ根源の波動が83%~98%の確定耐え
- 最速モロバレル抜き
対バレルゼルネにおいてガオガエンでモロバレルを倒さなければならない場面が発生するため、確実にモロバレルの上を取れる素早さに設定しました。
悪技は検討の余地がありますが、相手のゼルネアスと面倒なヌケニンに有効なバークアウトを採用しています。
慎重 220(244)-108(20)-90-*-144(244)-50
地団駄、怒りの粉、キノコの胞子、守る
- H185-B67ウツロイドを地団駄で最低乱数以外1発
地団駄については以前の記事でも書きましたが、レックウザ以外で打点を取りづらいウツロイドを強襲できるだけでなく、ゲンガー入りの相手に対してバレルレックから追い風で展開するプランをとった場合に、挑発や身代わりのあるゲンガー相手にモロバレルが腐らないのが非常に大きいです。
配分は相手のゼルネアスにゴリ押されないよう特殊耐久を重視し、物理耐久は襷任せとしました。レックウザに追い風が入ったことで追い風に乗る場面が増えたことと、ドータクンが環境から消えたのでSに下降補正を掛けるのをやめて無補正に。相手のガエンに追い風後上から胞子を入れられるのが強かったです。
陽気 141(4)-150(252)-83-*-93-162(252)
猫騙し、びりびりちくちく、ほっぺすりすり、投げつける
この枠は比較的自由だと思いますが、ここまでの5体で雨テッカグヤを突破できないので電気打点は必須だと考えています。以前はサンダーを採用していて、数値が高く安定感はありましたが、
- ゲンガー対策も兼ねて吠えるを採用していたが、グラードンが同居していると出せない
- クロバットを一致弱点で殴れるが、ほとんど襷なのでそこまで有利を取れていない
- 吠えるがあるとはいえサンダーはゼルネアスにさほど強くなく、ゼルネミラーがガエンゼルネバレル同士の立ち回り勝負になりがちだったため、この枠をミラーに強めの駒にしたい
などの不満があったため、電気打点を維持しつつこれらをある程度解決できそうなトゲデマルに変更しました。
技構成については必須の猫騙しと電気打点のびりびりちくちく、クロバットの襷を破壊しつつ機能停止にできるほっぺすりすりを確定とし、最後の枠と持ち物には印投げつけるを採用しました。
印投げつけるは初見殺し性能が非常に高く、トゲデマルより遅い相手に対して予期せぬタイミングでゼルネアスの行動回数を増やして大きくアドバンテージを得られます。グラードンに対しても1ターン稼ぐことができるので、ゼルネアスの1回の行動の大きさを考えるとある程度誤魔化しが効くと判断しました。他には滅びゲンガーのガエンの蜻蛉に合わせて投げつけて影踏みロックを抜け出したり、ミミッキュに対して投げつけジオコンできたりもしました。
選出・立ち回り
後発: +@1
基本選出。ゼルネアスを猫や粉で守りながら動かして削り切るか、積んだゼルネアスとレックウザを並べて上から全部倒すかのどちらかを目指します。
後発: +@1
ゼルネアスを通しづらい高速系相手に追い風から展開する選出。追い風中にジオコントロールを積んで追い風が切れた後も盤面を取れるよう意識します。
後発: +
トリックルーム軸に対する選出。トリックルーム起動ターンにゼルネの攻撃とカプZを通してダメージレースで差をつけ、ガエンの猫騙しとレヒレの守るを駆使しながらトリルターンを枯らした後、削れた相手をレックウザゼルネアスで一掃します。
後発: @2
ウツロイドを縛りながらジオコンが通りそうな場合や、ディアルガ入りなどに対して。
おわりに
自分が今まで使ってきた構築の中では最も感触が良く、立ち回りのプランも含め構築が完成した手応えを初めて感じることができました。この形に辿り着くまでに長い時間が掛かってしまったので、今後は限られた期間内に構築と立ち回りを仕上げることを意識して練習をしていきたいと思いました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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